新型コロナウイルス感染時の労災補償及び傷病手当金の取扱いについて

従業員の方が新型コロナウイルスに感染した場合、労災補償や健康保険法等における傷病手当金の対象となります。

労災補償と傷病手当金の取扱いについて、厚生労働省にて以下のQ&Aが公表されております。


新型コロナウイルスに関するQ&A(労働者の方向け)|厚生労働省 (mhlw.go.jp)
新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

業務に起因して感染したものであると認められる場合には労災補償、
業務災害以外の理由により感染したものは傷病手当金の対象になります。

Q&Aに詳細が公表されているのでチェックしてみましょう♪

1.労災補償

厚生労働省の新型コロナウイルスに関するQ&Aに詳細が公表されておりますが、感染者の従事内容によって取扱いが以下のとおり異なっております。

【医療従事者や介護従事者等が新型コロナウイルスに感染した場合】

業務外で感染したことが明らかである場合を除き、原則として労災保険給付の対象となります。

【医療従事者や介護従事者以外が新型コロナウイルスに感染した場合】

<感染経路が判明している場合>

感染が業務によるものである場合については、労災保険給付の対象となります。

<感染経路が判明しない場合>

労働基準監督署において、個別の事案ごとに調査し、労災保険給付の対象となるか否かを判断することとなります。
具体的には、感染リスクが高いと考えられる次のような業務に従事していた場合は、潜伏期間内の業務従事状況や一般生活状況を調査し、個別に業務との関連性(業務起因性)を判断します。
(例1)複数の感染者が確認された労働環境下での業務
(例2)顧客等との近接や接触の機会が多い労働環境下での業務
他の業務でも、感染リスクが高いと考えられる労働環境下の業務に従事していた場合には、潜伏期間内の業務従事状況や一般生活状況を調査し、個別に業務との関連性(業務起因性)を判断します。

2022年8月10日に、厚生労働省より新型コロナウイルスに関するQ&A(労働者の方向け)5-問8が更新されました。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00018.html#Q5-8

2.傷病手当金

こちらも厚生労働省の新型コロナウイルスに関するQ&Aに詳細が公表されております。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00018.html#Q5-8

また、傷病手当金につきましては、厚生労働省の以下の資料に詳細内容が公表されております。

【事務連絡】「新型コロナウイルス感染症に係る傷病手当金の支給に関するQ&A」の改訂について (mhlw.go.jp)

以下のような内容が書かれているので、チェックしてみてください♪

Q&Aの一例

Q1 被保険者が新型コロナウイルス感染症に感染しており、療養のため労務に服することができない場合、傷病手当金は支給されるのか。

A 被保険者が業務災害以外の理由により新型コロナウイルス感染症に感染している場合には、他の疾病に罹患している場合と同様に、療養のため労務に服することができなくなった日から起算して3日を経過した日から労務に服することができない期間、直近 12 か月の標準報酬月額を平均した額の 30 分の1に相当する額の3分の2に相当する金額(※)を、傷病手当金として支給することとなる。
(※)被保険者期間が 12 ヶ月に満たない者については、①当該被保険者の被保険者期間における標準報酬月額の平均額、又は②当該被保険者の属する保険者の標準報酬月額の平均額、のいずれか低い額が算定の基礎となる。

Q2 被保険者には自覚症状はないものの、検査の結果、「新型コロナウイルス陽性」と判定され、療養のため労務に服することができない場合、傷病手当金は支給されるのか。

A 傷病手当金の支給対象となりうる。

Q3 被保険者が発熱などの自覚症状があるため自宅療養を行っており、療養のため労務に服することができない場合、傷病手当金は支給されるのか。

A 傷病手当金の支給対象となりうる。

Q4 被保険者が発熱などの自覚症状があるため自宅療養を行っていた期間については、労務に服することができなかった期間に該当するのか。

A 従前より、医師が診察の結果、被保険者の既往の状態を推測して初診日前に労務不能の状態であったと認め、意見書に記載した場合には、初診日前の期間についても労務不能期間となり得ることとしている。
(中略)なお、やむを得ない理由により医療機関への受診を行わず、医師の意見書を添付できない場合には、支給申請書にその旨を記載するとともに、事業主からの当該期間、被保険者が療養のため労務に服さなかった旨を証明する書類を添付すること等により、保険者において労務不能と認められる場合、傷病手当金を支給する扱いとする。

Q7 事業所内で新型コロナウイルス感染症に感染した者が発生したこと等により、事業所全体が休業し、労務を行っていない期間については、傷病手当金は支給されるのか。

A 傷病手当金は、労働者の業務災害以外の理由による疾病、負傷等の療養のため、被保険者が労務に服することができないときに給付されるものであるため、被保険者自身が労務不能と認められない限り、傷病手当金は支給されない。
なお、法律等に基づかない使用者の独自の判断により、一律に労働者に休んでいただく措置をとる場合のように、使用者の責に帰すべき事由による休業の場合には、労働基準法に基づき、使用者は、休業期間中の休業手当(平均賃金の 100 分の 60 以上)を支払わなければならないとされている。

Q9 被保険者が、業務災害以外の事由で罹患した新型コロナウイルス感染症の罹患後症状(いわゆる後遺症)の療養のため、労務に服することができない場合、傷病手当金は支給されるのか。

A 傷病手当金の支給対象となりうる。

Q13 被保険者が、新型コロナウイルス感染症の治癒後においても、事業主から感染拡大の防止を目的として自宅待機を命じられたため労務に服することができない場合、当該期間について、傷病手当金は支給されるのか。

A 傷病手当金は、労働者の業務災害以外の理由による疾病、負傷等の療養のため、被保険者が労務に服することができないときに給付されるものである。したがって、治癒後においても、事業主から感染拡大の防止を目的として自宅待機を命じられた場合は、被保険者が疾病、負傷等の療養による労務不能と認められないため、傷病手当金は支給されない。
なお、法律等に基づかない使用者の独自の判断により、一律に労働者を休ませる措置をとる場合のように、使用者の責に帰すべき事由による休業の場合には、労働基準法に基づき、使用者は、休業期間中の休業手当(平均賃金の 100 分の 60 以上)を支払わなければならないとされている。

令和4年8月9日の事務連絡では、以下の取扱いが追加されました。

https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T220810S0030.pdf

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