準備せよ!男性育休!令和4年4月スタート! 育児介護休業法 改正ポイントのまとめ(後編)【人事担当者向け編】

前編では、育児介護休業法の改正項目の1.と2.についてお話してまいりました!

復習も兼ねまして、下記に「改正の概要」を再掲いたします!

改正の概要

1.男性の育児休業取得促進のための子の出生直後の時期における柔軟な育児休業の枠組みの創設(令和4年10月施行)

2.育児休業を取得しやすい雇用環境及び妊娠・出産の申し出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置の義務付け(令和4年4月施行)

3.育児休業の分割取得(令和4年10月施行)

4.育児休業の取得の状況の公表の義務付け(令和5年4月施行)

5.有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和(令和4年4月施行)

6.育児休業給付に関する所要の規定の整備(雇用保険法)

※今回は主に1~5についてご説明させていただきます。

後編では引き続き改正項目の3.から解説していきます!

[3]育児休業の分割取得(令和4年10月施行)

★就業規則の見直しをしましょう★

分割して2回まで取得可能

この分割は、上記1.でご紹介した「産後パパ育休」を除く、従来の育休制度に関しての分割となります。

つまり産後8週を過ぎた後、1歳になるまでの間で2回に分割して取得できるということです。

例えば奥様の職場復帰のタイミング等に2回目をお取りいただくなんてこともできます!

[1]で解説した産後パパ育休と、そのあとの育休の取得の仕方の流れを、女性の産休・育休と並行させた状態でわかりやすく画像にしてみました。

また、保育所に入所できない等の理由で1歳以降も延長して育休を取得する場合、今までは休業の開始日が1歳時点(もしくは1歳6ヶ月時点)からのみとなっていました。

しかし法改正により、休業の開始日は柔軟に選ぶことができるようになっています。

画像の1歳以降の取得の例をご覧ください。夫婦で途中から交代して取得することができるようになっています。

ちなみに、上の画像下段のように女性が分割して育休を取得することも可能です!

どのようなお休みの組み合わせを希望するのか該当者の意向を確認することが重要です。

[4]育児休業の取得の状況の公表の義務付け(令和5年4月施行)

従業員1000人超えの企業を対象に、育児休業の取得の状況について公表を義務付けられます。

[5]有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和(令和4年4月施行)

★就業規則の見直しをしましょう★

有期の雇用労働者の方には、育児休業を取得するための下記のような取得要件がありました。それが変更となり、要件が緩和されています。

●現行の育児休業取得要件

(1)引き続き雇用された期間が1年以上

(2)1歳6ヶ月までの間に契約が満了することが明らかでない

→今回の改正で(1)の要件が撤廃され、(2)の要件のみ残ることになります。

これにより期間の定めのない無期の雇用労働者の方々と同様の取り扱いとなり、伴って雇用保険のほうの育児休業給付についても同様に要件が緩和されます。

しかしながら、引き続き雇用された期間が1年未満の労働者については労使協定の締結によって除外が可能となります。

現在の就業規則を現行の制度と同じ内容にしている場合には(1)の撤廃が必要です。

変更の必要があるかどうか早めに確認し、令和4年4月の法施行に間に合うようにご準備ください。


はい!ここまで法改正の概要に沿って内容を確認してまいりました。

なんとなくは…理解していただけなのではないでしょうか。

時系列的に確認すると下記のとおりです。

令和4年4月施行
[2]育児休業を取得しやすい雇用環境整備及び妊娠・出産の申し出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置の義務付け
[5]有期雇用労働者の育児介護休業取得要件の緩和★
令和4年10月施行
[1]男性の育児休業取得促進のための子の出生直後の時期における柔軟な育児休業の枠組みの創設★
[3]育児休業の分割取得★
令和5年4月施行
[4]育児休業の取得の状況の公表の義務付け(対象企業のみ)

法改正対応完了!

★は就業規則の見直しが必要なもの

まずは令和4年4月までに雇用環境の整備と周知・意向確認の準備です。

環境整備のために会社側が講じなければならない4つの措置がありました。

それらの中からどれを自社の対応として採択するのか。また、周知事項の内容を理解しておくことも重要です。

そのうえで周知方法や意向確認の方法をどのように運用していくのか社内でご検討ください。

既存の社内制度等との絡みもあると思いますので、ぜひ早めの着手をしていただければと思います。

そして、育児介護休業の取得要件の緩和に関しては就業規則の見直しをしましょう。

育児休業の規程と介護休業の規程が別にある場合にはどちらも変更対象です。

就業規則の変更には、労働者の過半数代表者等に意見を聴き、労働基準監督署への提出が必要です。

変更には相応の手順があり、すぐにできるわけではないのでご注意ください。変更手続きが終わった就業規則は、労働者へ周知することも忘れずに!

また、自社が労使協定で1年未満の労働者を除外対象とするのかどうかも確認しておいてください。

就業規則の規定例はこちら!

そしてメインとなる10月の改正に向けて万全の態勢で臨んでいただければと思います。

<最後に>

 これにて、今回の法改正についてのポイント解説は終了です。

 ここまでお読みいただきありがとうございました。

 それでは今のみなさんの気持ちを代弁しましょう。

「え、めっちゃ大変じゃん…」

 その通りですね。

これから社内制度を刷新するために、まずは自分で学びつつも部署内で検討を図り試行錯誤して、責任者の方へ持って行く。

形になるまでの道のりがまだ遠い方もいるかもしれません。

 しかしこの先長い目で見て、この法改正による新制度を正しく取り組むことができればいいことがある。

むしろ、周りに置いて行かれる可能性もある。そんな風に捉えることができるデータがございます。

こちらの資料をご覧ください。

公益財団法人 日本生産性本部による2017年度新入社員 秋の意識調査

【子供が生まれた時には、育児休暇を取得したい】男性過去最高79.5%

2017年度新入社員の方への意識調査で、将来子供が生まれた時には、育児休暇を取得したいと考えている若者がこれだけいるということです。

これは数年前の調査結果であり、グラフの伸び方を見ても、2022年以降この意識はさらに加速していくのではないかと私は考えています。

 つまり、新入社員は育休についてある程度制度が整っている会社を求めている。

もし就職活動の際に、育休制度が整っている企業とそうではない企業から内定をもらったとしたら。

これからの若者はどちらを選ぶでしょうか。

 人手不足が叫ばれて久しい世の中ですが、採用強化という面からもこの法改正対応の重要性がうかがえます。

 ぜひ前向きに取り組んでいきましょう!

 このコラムが御社の魅力的な制度設計の一助になれば幸いです。

 お読みいただき、ありがとうございました!

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