いわゆる「シフト制」とは?働く皆さんも知っておくべき留意事項を確認しよう!(いわゆる「シフト制により就業する労働者の適切な雇用管理を行うための留意事項)

こんにちは、スピカ社会保険労務士事務所スタッフのIです。

厚生労働省より、「いわゆるシフト制」について、留意事項が公表されました。

「いわゆるシフト制」で働く方々の労務管理を適切に行うため、

使用者がそれらに留意することで労使双方にとってよりよい働き方を目指しましょうという事項です。

私も学生時代は書店でアルバイトをしていました。

 週3で学校終わりに通い、たまに土日にも入ったりして。時間も基本的には5時間の勤務と決まっていて、夏休みなどのときにはもっと長く入ることもしばしば。いわゆる、「いわゆるシフト制」でした。

先ほどから出ているこの、「いわゆるシフト制」とはなんでしょう?

厚生労働省の留意事項では下記のように定義されています。

「シフト制」とは?

この留意事項で、「シフト制」とは、労働契約の締結時点では労働日や労働時間を確定的に定めず、一定期間(1週間、1か月など)ごとに作成される勤務シフトなどで、初めて具体的な労働日や労働時間が確定するような勤務形態を指します。

ただし、三交替勤務のような、年や月などの一定期間における労働日数や労働時間数は決まっていて、就業規則等に定められた勤務時間のパターンを組み合わせて勤務する形態は除きます。

経験されたことのある方も多いかと思います。

今現在「いわゆるシフト制」で働かれている方もいるかと思います。

今回はこの『いわゆる「シフト制」により就業する労働者の適切な雇用管理を行うための留意事項』についてご紹介していきますので、労働者の皆さんも働く上での知識をつけていきましょう。

応募をする時の留意点

求人に応募するときには、労働条件などが書かれている応募内容を確認しますよね。業務内容・労働時間・賃金等をしっかり確認しましょう。

※使用者はここをチェック※

会社は募集時、労働者となろうとする者に対して、労働条件を明示しなければならないと決められています。

可能な限り具体的かつ詳細に明示するよう配慮が必要です。

求人票等への記載も同様です。

採用が決まったら?

 ご自身がシフト制で働くとき、会社から自分の労働条件が明示されているか、どのように設定されているか確認しておきましょう。

下記の項目は必ず明示されなければならない事項として定められているものです。これらが確認できるかどうかがチェックポイントです。

必ず明示しなければならない事項

※書面で交付しなければなりません※

・契約期間

・期間の定めがある契約を更新する場合の基準

・就業場所、従事する業務

・始業・終業時刻、休憩、休日など

・賃金の決定方法、支払い時期など

・退職(解雇の事由を含む)

・昇給

※使用者はここをチェック※

会社側は労働契約の締結時にも上記の各項目について、労働者へ明示する義務があります!

その中でも問題となりやすい「始業及び終業の時刻」や「休日」に関する事項については、特に留意してください。

働く前にあらかじめ話し合っておきたいこと

 シフトの作成や設定について、必要に応じてあらかじめ会社と話し合っておくことをおすすめします。

<シフトの作成に関するルール>

シフト制労働者の場合であっても、使用者が一方的にシフトを決めることは望ましくなく、使用者と労働者で話し合って、下記のようなシフトの決定に関するルールを定めておくことが考えられます。

シフトの作成に関するルール

・シフト表などの作成に当たり、事前に労働者の意見を聴取すること

・確定したシフト表などを労働者に通知する期限や方法

  (例:「毎月〇日までに、電子メールで等で通知する」など)

・確定したシフト表などにおける労働日、労働時間等を変更する場合の方法や期限

  ※変更する内容も、会社側と労働者側で双方に合意が必要です。

・一定の期間において、目安となる、最大・最低限労働する日数、労働時間数

  (例:「毎週月、水、金曜日から勤務する日をシフトで指定する」

  「1か月○日程度勤務」、「少なくとも毎週月曜日はシフトに入る」など)

 

 私も原則は週3勤務と決められていましたし、勤務時間もあらかじめ大枠が決められていました。その中でシフトを調整したほうが、予定なども立てやすいですよね!

実際に働くときは

  • 労働時間

シフト制労働者の場合であっても、1日8時間以内、1週 40 時間以内の法定労働時間を遵守する必要があります。

  • 休憩

シフト制労働者の場合であっても、労働時間が6時間を超える場合は少なくとも 45 分、8時間を超える場合は少なくとも1時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければなりません。

  • 年次有給休暇

シフト制労働者の場合であっても、雇入れの日から起算して6か月間継続勤務し、全労働日の8割以上出勤したときは、労働基準法所定の日数の年次有給休暇を付与しなければなりません。

  • 休業

使用者は、使用者の責に帰すべき事由により労働者を休業させた場合、当該休業期間中、当該労働者に対し、平均賃金の6割以上の休業手当を支払わなければならないこととされています。

  • 労働契約の終了

・シフト制労働者が期間の定めのある労働契約

…やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、解雇することができません。

・シフト制労働者が期間の定めのない労働契約

…解雇が「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合」には無効となります。

  • 社会保険・労働保険の加入等

労災保険は、シフト制労働者の場合であっても、労災保険給付の対象となります。雇用保険・健康保険・厚生年金も、各制度の要件を満たしたときには被保険者となります。

※使用者はここをチェック※

 事業主は労働者が社会保険の被保険者となった場合は5日以内の手続きが必要です。

資格取得届の提出を行ってください。

最後に

シフト制に関するご相談

 もし、「シフトが一方的に減らされてしまった」などのトラブルがあった場合には、その解決方法の一つとして、個別労働紛争解決制度があります。お近くの都道府県労働局、各労働基準監督署内などに設置されている総合労働相談コーナーでも、相談に乗ってくれます。

総合労働相談コーナーのご案内|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

厚生労働省:いわゆる「シフト制」により就業する労働者の適切な雇用管理を行うための留意事項 (mhlw.go.jp)

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準備せよ!男性育休!令和4年4月スタート! 育児介護休業法 改正ポイントのまとめ(後編)【人事担当者向け編】

前編では、育児介護休業法の改正項目の1.と2.についてお話してまいりました!

復習も兼ねまして、下記に「改正の概要」を再掲いたします!

改正の概要

1.男性の育児休業取得促進のための子の出生直後の時期における柔軟な育児休業の枠組みの創設(令和4年10月施行)

2.育児休業を取得しやすい雇用環境及び妊娠・出産の申し出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置の義務付け(令和4年4月施行)

3.育児休業の分割取得(令和4年10月施行)

4.育児休業の取得の状況の公表の義務付け(令和5年4月施行)

5.有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和(令和4年4月施行)

6.育児休業給付に関する所要の規定の整備(雇用保険法)

※今回は主に1~5についてご説明させていただきます。

後編では引き続き改正項目の3.から解説していきます!

[3]育児休業の分割取得(令和4年10月施行)

★就業規則の見直しをしましょう★

分割して2回まで取得可能

この分割は、上記1.でご紹介した「産後パパ育休」を除く、従来の育休制度に関しての分割となります。

つまり産後8週を過ぎた後、1歳になるまでの間で2回に分割して取得できるということです。

例えば奥様の職場復帰のタイミング等に2回目をお取りいただくなんてこともできます!

[1]で解説した産後パパ育休と、そのあとの育休の取得の仕方の流れを、女性の産休・育休と並行させた状態でわかりやすく画像にしてみました。

また、保育所に入所できない等の理由で1歳以降も延長して育休を取得する場合、今までは休業の開始日が1歳時点(もしくは1歳6ヶ月時点)からのみとなっていました。

しかし法改正により、休業の開始日は柔軟に選ぶことができるようになっています。

画像の1歳以降の取得の例をご覧ください。夫婦で途中から交代して取得することができるようになっています。

ちなみに、上の画像下段のように女性が分割して育休を取得することも可能です!

どのようなお休みの組み合わせを希望するのか該当者の意向を確認することが重要です。

[4]育児休業の取得の状況の公表の義務付け(令和5年4月施行)

従業員1000人超えの企業を対象に、育児休業の取得の状況について公表を義務付けられます。

[5]有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和(令和4年4月施行)

★就業規則の見直しをしましょう★

有期の雇用労働者の方には、育児休業を取得するための下記のような取得要件がありました。それが変更となり、要件が緩和されています。

●現行の育児休業取得要件

(1)引き続き雇用された期間が1年以上

(2)1歳6ヶ月までの間に契約が満了することが明らかでない

→今回の改正で(1)の要件が撤廃され、(2)の要件のみ残ることになります。

これにより期間の定めのない無期の雇用労働者の方々と同様の取り扱いとなり、伴って雇用保険のほうの育児休業給付についても同様に要件が緩和されます。

しかしながら、引き続き雇用された期間が1年未満の労働者については労使協定の締結によって除外が可能となります。

現在の就業規則を現行の制度と同じ内容にしている場合には(1)の撤廃が必要です。

変更の必要があるかどうか早めに確認し、令和4年4月の法施行に間に合うようにご準備ください。


はい!ここまで法改正の概要に沿って内容を確認してまいりました。

なんとなくは…理解していただけなのではないでしょうか。

時系列的に確認すると下記のとおりです。

令和4年4月施行
[2]育児休業を取得しやすい雇用環境整備及び妊娠・出産の申し出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置の義務付け
[5]有期雇用労働者の育児介護休業取得要件の緩和★
令和4年10月施行
[1]男性の育児休業取得促進のための子の出生直後の時期における柔軟な育児休業の枠組みの創設★
[3]育児休業の分割取得★
令和5年4月施行
[4]育児休業の取得の状況の公表の義務付け(対象企業のみ)

法改正対応完了!

★は就業規則の見直しが必要なもの

まずは令和4年4月までに雇用環境の整備と周知・意向確認の準備です。

環境整備のために会社側が講じなければならない4つの措置がありました。

それらの中からどれを自社の対応として採択するのか。また、周知事項の内容を理解しておくことも重要です。

そのうえで周知方法や意向確認の方法をどのように運用していくのか社内でご検討ください。

既存の社内制度等との絡みもあると思いますので、ぜひ早めの着手をしていただければと思います。

そして、育児介護休業の取得要件の緩和に関しては就業規則の見直しをしましょう。

育児休業の規程と介護休業の規程が別にある場合にはどちらも変更対象です。

就業規則の変更には、労働者の過半数代表者等に意見を聴き、労働基準監督署への提出が必要です。

変更には相応の手順があり、すぐにできるわけではないのでご注意ください。変更手続きが終わった就業規則は、労働者へ周知することも忘れずに!

また、自社が労使協定で1年未満の労働者を除外対象とするのかどうかも確認しておいてください。

就業規則の規定例はこちら!

そしてメインとなる10月の改正に向けて万全の態勢で臨んでいただければと思います。

<最後に>

 これにて、今回の法改正についてのポイント解説は終了です。

 ここまでお読みいただきありがとうございました。

 それでは今のみなさんの気持ちを代弁しましょう。

「え、めっちゃ大変じゃん…」

 その通りですね。

これから社内制度を刷新するために、まずは自分で学びつつも部署内で検討を図り試行錯誤して、責任者の方へ持って行く。

形になるまでの道のりがまだ遠い方もいるかもしれません。

 しかしこの先長い目で見て、この法改正による新制度を正しく取り組むことができればいいことがある。

むしろ、周りに置いて行かれる可能性もある。そんな風に捉えることができるデータがございます。

こちらの資料をご覧ください。

公益財団法人 日本生産性本部による2017年度新入社員 秋の意識調査

【子供が生まれた時には、育児休暇を取得したい】男性過去最高79.5%

2017年度新入社員の方への意識調査で、将来子供が生まれた時には、育児休暇を取得したいと考えている若者がこれだけいるということです。

これは数年前の調査結果であり、グラフの伸び方を見ても、2022年以降この意識はさらに加速していくのではないかと私は考えています。

 つまり、新入社員は育休についてある程度制度が整っている会社を求めている。

もし就職活動の際に、育休制度が整っている企業とそうではない企業から内定をもらったとしたら。

これからの若者はどちらを選ぶでしょうか。

 人手不足が叫ばれて久しい世の中ですが、採用強化という面からもこの法改正対応の重要性がうかがえます。

 ぜひ前向きに取り組んでいきましょう!

 このコラムが御社の魅力的な制度設計の一助になれば幸いです。

 お読みいただき、ありがとうございました!

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準備せよ!男性育休!令和4年4月スタート! 育児介護休業法 改正ポイントのまとめ(前編)【人事担当者向け編】

<育児休業を取得しやすい雇用環境整備及び妊娠・出産の申し出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置の義務付け>




上記は今回の法改正の中の一部を抜粋したものです。

みなさんはこれを見ただけで内容の理解はできますでしょうか?

ちょっと何を言っているのかわからない…そんな人も多いと思います。

しかし、この文章の中には人事担当者には無視できない要素が詰まっています。

ザックリと説明しますと、「これから迎える令和4年4月までに、法改正ポイントについての説明ができるようにしたうえで、対象者が育休を取得しやすいよう社内環境を整えよ。これは義務である」と申しております。

聞いたことがあるけど、詳しくはわからないかも

あまり時間がないけどどうしたらいいんだろう??

そんな人事担当者の方向けに、今回は法改正ポイントの解説と具体的にどう動けばいいのかの詳細をご紹介します。

この記事が御社での法改正対応策の参考になれば幸いです!

では参りましょう!

厚生労働省が打ち出している改正の趣旨と改正の概要は以下の通りです。

改正の趣旨

出産・育児等による労働者の離職を防ぎ、希望に応じて男女ともに仕事と育児等を両立できるようにするため、この出生直後の時期における柔軟な育児休業の枠組みの創設、育児休業を取得しやすい雇用環境整備及び労働者に対する個別の周知・意向確認の措置の義務付け、育児休業給付に関する所要の規定の整備等の措置を講ずる。

改正の概要

1.男性の育児休業取得促進のための子の出生直後の時期における柔軟な育児休業の枠組みの創設(令和4年10月施行)

2.育児休業を取得しやすい雇用環境及び妊娠・出産の申し出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置の義務付け(令和4年4月施行)

3.育児休業の分割取得(令和4年10月施行)

4.育児休業の取得の状況の公表の義務付け(令和5年4月施行)

5.有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和(令和4年4月施行)

6.育児休業給付に関する所要の規定の整備(雇用保険法)

※今回は主に1~5についてご説明させていただきます。

1~5まで、概要の通りの順番で各項目を説明していきます。(前編では1・2について、後編では3以降について取り上げます)

その後、時系列にまとめたもので振り返ります。

★就業規則の見直しをしましょう★

この表示のある項目は就業規則の変更が必要な項目です。

現行の育休制度の通りに就業規則を定めている企業様は、就業規則を新制度仕様に変える必要があるかと思いますので、ご注意ください。

[1]男性の育児休業取得促進のための子の出生直後の時期における柔軟な育児休業の枠組みの創設(令和4年10月施行)

★就業規則の見直しをしましょう★

「子の出生直後の時期」これはお子様が生まれてから8週間の間のことを指しています。

この期間におけるお休みを、「柔軟」な「枠組み」で新たに「創設」しますよ、ということです。

このお休みは『出生時育児休業』と言います。男性だけでなく例えば養子の子を持つ女性も対象になります。(産前産後休業中の女性は対象外)

別名「産後パパ育休」です。このコラムでは以下、産後パパ育休と呼んでいきましょう。

では具体的に、柔軟な枠組みとはどういったものなのでしょうか。厚労省からは下記のポイントについて改正内容が発表されています。

①対象期間、取得可能期間

 →子の出生後8週間以内に4週間まで取得可能

※現行の育児休業制度では「原則子が1歳になるまで(最長2歳まで)」としか定められておりませんでした。

今回の改正により、子供が生まれてから8週間以内に合計で4週間までなら取得ができるようになりました。

※既に法定の育休制度とは別で、社内制度としての「育児目的のための休暇」を独自に設定されている企業様であれば、その日数も4週間の中に含めて確保されればよいとされています。

(社内休暇とは別に4週間を設けなければいけないのではありません)

②申出期間

 →休業開始2週間前まで

※休業開始予定日の2週間前までに会社へ申し出なければなりません。

現行では原則1か月前までの申し出とされていましたので、期間が短くなっています。

ただ、円滑な取得のために会社側・労働者側双方で、申し出期限にかかわらず早めに申し出ができるようお互いに配慮していきましょう。

③分割取得

 →2回まで分割取得可能

※出産直後の8週間の間に2回まで分割することが可能です。

日数の分け方については4週間以内であれば特に指定はないようです。

出生時や配偶者の退院時に取得してもよし、里帰りから帰るタイミングで取得してもよしです。

※分割取得する場合には初めにまとめて申し出ることとすることが適当です。

④休業中の就業

 →事前に調整したうえで休業中の就業を可能とする。

※今まで休業中の就労は不可とされていました。

今回の改正により、労働者の意に反したものとならないよう、労使協定を締結している場合に限り、労使の合意した範囲内で許されています。

休業中の終業が可能とされているのはこの産後パパ育休のみです。

[具体的な手続きの流れ]
労働者が就業してもよい場合は、会社側にその条件を申出
会社側は労働者が申し出た条件の範囲内で候補日・時間を提示
(候補日等がない場合はその旨。テレワークも可能)
労働者が同意
会社側が通知

休業中の就業が可能に!

※就業可能日の上限があります※
・休業期間中の所定労働日・所定労働時間の半分
・休業開始日当日・終了予定日当日を就業日とする場合は当該日の所定労働時間数未満

この労働者からの申し出は、休業開始日や終了日をそれぞれ明らかにしてもらうことが望ましいです。ただ、業務状況の兼ね合いなどにより見通しが立てにくい場合は、休業開始前まで任意のタイミングで申し出ることができるとされています。休業開始までならばその条件の変更も可能です。

また、休業開始までは同意を撤回することが可能です。また休業開始後に、配偶者の疾病等や特別な事情があるときにも撤回することができます。

ずらっと書いてきましたが、文章だけではイメージが湧きづらいかと思いますので、イメージ画像を用意しました。

出生から8週間までは上記の各項目の要件を守れば、合計4週間分・2回までのお休みが取れますということです。

この出生直後のお休みが『産後パパ育休』です。

もちろんこの8週間の後も育休は取得可能です。後編の[3]で解説していきます。

[2]育児休業をしやすい雇用環境整備及び妊娠・出産の申出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置の義務付け(令和4年4月施行)

冒頭でご紹介した項目です。

今回の法改正の中でトップバッターで施行されるポイントのひとつです。

こちらも長いのですが、実は言っていることは複雑ではありません。

上の文章、区切りに/を入れてみますと、2つの項目に分かれます。

「育児休業を取得しやすい雇用環境整備 / 及び妊娠・出産の申し出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置の義務付け

つまり!

・職場を、育休の申し出や取得がしやすい環境にし、制度を整える

・該当者に個別に法制度を説明する時間を設け、そのうえでどのように育休を取得したいか聞いてみる

ということを「義務付け」しており、

さらにこれらを令和4年の4月から開始できるよう準備してください、ということを言っています。

でも、環境を整備するってどうするの?周知はどうやったらいいかわからない!

そんな人事担当者の方のために、2つの項目を順番に見ていきましょう。

①育児休業を取得しやすい雇用環境の整備

育児休業と産後パパ育休の申し出をしやすくしましょうね、という項目です。

今までは環境整備に関する規定はありませんでした。今回新しく設置された規定ということになります。

会社は厚生労働省が指定している以下の措置を行わなければなりません。

(複数の措置を講じることが望ましいとされています)

1.育児休業・産後パパ育休に関する研修の実施
2.育児休業・産後パパ育休に関する相談体制の整備等相談窓口設置
3.自社の労働者の育児休業・産後パパ育休取得事例の収集・提供
4.自社の労働者への育児休業・産後パパ育休制度と育児休業取得促進に関する方針の周知

社内で従業員向けに研修を行い、または個別に相談を受け付ける体制を整える。

または取得した事例は記録しておき、または自社が育休についてどう考えているのかの方針を発表しなければならない…。(すべての措置をとることは必ずしも義務ではありません)

そもそも制度について詳しくないんです…。

相談なんて受けれるかなあ

おっしゃるとおり。だからこそこちらの記事を見ていただいているのかと思います。

ご安心ください。以降もこのシリーズを読めばとっても詳しくなれます!(笑)

そしてこの記事で前情報をつかんだ後、厚生労働省などが行っているウェブセミナー等へのご参加もおすすめします。

現在の男女の育休取得率について・法改正の内容について・企業の育休取得事例紹介など、参考情報が盛りだくさんでしたので、ぜひ受けてみてください。

同業種・同規模の企業様のご紹介があれば、どういった施策を実施されているのかヒントになるかと思います。

また、研修用の動画も公開されています。

最終的には外部の専門家に研修や対応策を一緒に考えてもらうことも一つかなと思います。

もちろん弊事務所へのご相談もお待ちしております!(笑)

②妊娠・出産(本人または配偶者)の申し出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置

申し出をした労働者に対して、個別に育児休業制度等の説明と意向確認する機会を設けましょう。という項目です。

今までは個別周知することが努力義務(~するよう努力する)として規定されていたにすぎなかったのですが、こちらも義務付けがされることになりました。

(取得を控えさせるような個別周知と意向確認は認められません)

厚生労働省が指定している周知事項と方法は以下の通りです。

周知事項1.育児休業・産後パパ育休に関する制度
2.育児休業・産後パパ育休の申し出先
3.育児休業給付に関すること
4.労働者が育児休業・産後パパ育休期間について負担すべき社会保険料の取り扱い
個別周知・意向確認の方法1.面談
2.書面交付
3.FAX
4.電子メール等  のいずれか

おそらく人事担当者の方が制度に関してのご説明にあたられるかと思います。

周知項目の1.に関しては前項目のウェブセミナー等で本改正の内容の詳細を勉強しておくことをおすすめいたします。(くどいですがこの記事もなかなかいいですよ)

また、周知項目2.についても同じ人事担当者の方やその部署が申し出先となるのかなと思いますので、周知の際に「こちらへどうぞ」と明記してあげてください。

そして周知項目3ですが、雇用保険の育児休業給付について説明してくださいということです。

簡単に「育児休業給付とは?」

被保険者の方が1歳に満たない子を養育するための育児休業を取得し、育児休業期間中の賃金が休業開始時の賃金と比べて80%未満に低下したとき、一定の要件を満たした場合に、公共職業安定所への支給申請により支給されるもの。

女性は育児休業開始時から、男性は配偶者の出産時から支給対象期間となります。

ここでは具体的な申請方法については触れませんが、育休取得中の賃金が低い日は給付を申請しますよ、ということを説明してあげます。

そして今回の法改正の内容も対象となります。[1]の産後パパ育休ももちろん対象です。

もし産後パパ育休中に就業日がある場合は、就業日数がその月で     最大10日(10日を超える場合は就業している時間数が80時間) である場合に給付の対象となります。なので就業日の予定を立てるときに、もし10日以上働く予定になっていたらその対象者に声をかけてあげてください。

周知事項4.については見直しが行われます。

社会保険料は現在、月末時点で育休に入っていればその当月分が免除になる仕組みです。

そのため産後パパ育休等、短期間の育休を取得しているとその期間が月末をまたぐのか否かで免除されるかどうかが変わってしまいます。

これを防ぐため、今回の法改正の内容に対応して、月内に2週間以上休業を取得した人には当月分の社会保険料が免除されるようになりました。

賞与に係る社会保険料に関しても、今までは賞与月の月末に育休を取得していれば、賞与が支払われていても全額分免除とされていました。

しかしこの仕組みでは賞与月の月末に全額免除を狙って育休を取得しようとする動きが多いとの指摘が以前からありました。

今回の法改正に合わせて、今後は賞与の社会保険料の免除は1ヶ月超えの育休取得者のみに適用されるようになります。


前編では、改正項目のうち、

「1.男性の育児休業取得促進のための子の出生直後の時期における柔軟な育児休業の枠組みの創設(令和4年10月施行)」

「2.育児休業を取得しやすい雇用環境及び妊娠・出産の申し出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置の義務付け(令和4年4月施行)について解説いたしました。

後編では続いて

「3.育児休業の分割取得(令和4年10月施行)」

「4.育児休業の取得の状況の公表の義務付け(令和5年4月施行)」

「5.有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和(令和4年4月施行)」について解説しております。

引き続きよろしくお願いいたします!

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第1回1月29日(土)社労士業務を知ろう・幹事決定!岡佳伸氏 飯塚知世氏 三好夕貴氏
第2回3月12日(土)提案の仕方・+αの展開を考える森山和博氏 澤田涼子氏
第3回5月28日(土)課題評価・卒業ゼミ!中 昌子氏 清水 博康氏 他

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1.セクシュアリティとは
2.LGBTとは?
3.性のあり方を構成する要素
4.多様な性のあり方
5.性別表現と性的指向
6.SOGIとは?
7.SOGIとLGBT
8.言葉や概念を理解する事が支援の第一歩
9.使用に注意を要する言葉
10.カミングアウトを受けたら

~LGBTをめぐる国内外の状況~

1.性的指向に関する世界の法制度
2.自治体のパートナーシップ制度
3.性の多様性に関する条例
4.労働分野における行政の取り組み
5.改正セクハラ指針
6.行政の相談窓口
7.SOGIハラとは?
8.SOGIハラによる労災認定
9.SOGIにまつわる困難の特徴
10.大切なのは理解ある職場環境の整備

~労務管理上の諸問題への具体的な対応~

1.方針の策定・周知
2.ハラスメント対応、相談体制の構築
3.SOGIに関する個人情報の取り扱い
4.服務規定
5.福利厚生
6.男女別に設置された施設の利用

~差別的な対応をしないことは、なぜ難しいのか~

1.ワーク:採用選考
2.無意識の偏見
3.無意識的な差別的言動を防ぐには

購入についての詳細は下記にてご確認ください。

LGBT等性的少数者についての基礎知識 | 社会保険労務士PSRネットワーク (psrn.jp)

飯塚 知世
スピカ社会保険労務士事務所代表

明治大学法学部卒業。
社労士を中心とした有志グループSR LGBT&Allies所属。
人材の多様性やライフスタイルの変化に応じて、すべての人が自分らしく働ける会社づくりを支援するため
2017年5月スピカ社会保険労務士事務所を設立。
2020年、2021年全日本ヨーヨー選手権大会女性部門優勝。
【ヨーヨー社労士®】としてメディア出演等、幅広く活動中。

タイトルLGBT等性的少数者についての基礎知識
価格PSR正会員   29,700円(税込) 
情報会員・一般 38,500円(税込)
講師
飯塚知世(社会保険労務士/SR LGBT&Alliesメンバー)
小田瑠依(特定社会保険労務士/SR LGBT&Allies共同代表)
備考制作:2021年11月
DVD1枚(約100分) 、レジュメ(PDF)

スピカ社会保険労務士事務所では、SOGIハラスメント防止コンサルティングやLGBTQの従業員を支援する制度の導入や運用の支援を行っております。

まずはお問い合わせフォームからご相談下さい!

【書籍】中央経済社「社労士の仕事カタログ」にヨーヨー社労士®飯塚知世のインタビューが掲載されました!

社労士の仕事カタログ 書影

2021年12月28日発売の書籍「社労士の仕事カタログ」

スピカ社会保険労務士事務所代表 飯塚知世のインタビューが掲載されております!

社労士の仕事カタログ | ひよこの学習塾ー社労士教室ー編著

社労士試験受験生と合格者(新米社労士)のための資格活用ガイド!

令和の開業と資格の活かし方がわかる!

20人の先輩訪問記

☆こんな方におすすめ☆
・コロナ禍で対面の研修が開催されず、先輩に話を聞く機会がない
・開業したいけれど、何をすればよいか見当もつかない
・社労士業務のリアルな話、スタートの話を聞きたい

記事監修、執筆、取材のご依頼はお問い合わせフォームより受け付けております!

労働基準法や労働条件のルールが無料で学べる動画をご紹介します!

働くうえで知っておくべき知識がたくさんあるけど、よくわからないよー!

そんなあなたに、基本的な労働法について学べる動画が、厚生労働省から公開されています!

動画で学ぼう!労働条件 大学生・高校生等を対象とした労働条件セミナー

  • 労働条件の明示・内定など
  • 長時間労働の防止
  • 割増賃金の適正な支払
  • 年次有給休暇、産前・産後休業、育児休業
  • ハラスメント(パワハラ、セクハラ)

クイズ形式になっていて、丁寧に解説してくれています!

動画はトピックごとに数種類公開されているので、気になるものからチェックできます

特に学生の方がアルバイトや就職する際に知っておくと良いことが、

わかりやすくまとまっていて、初心者にもやさしい動画です!

基本的な内容だから、学生だけでなく新入社員に観てもらうのにもおススメ

労働者は皆知っておくべき労働条件ですね!

他にも厚生労働省のサイトでは、学生や初心者の方にむけたコンテンツがたくさん公開されています!

こんなに色々あるんだね!

楽しく学べるようになってるので、試してみてください♪

確かめよう労働条件 厚生労働省

https://www.check-roudou.mhlw.go.jp/top.html

スピカ社会保険労務士事務所では、労務管理上の具体的な対応に関するご相談をお受けしております。
お気軽にお問い合わせください♪